本採用の拒否

一般的に、本採用後は、重大な規律違反や会社の経営危機といったよほどのことがない限り、解雇するのは難しいのが現状です。そのため、本採用の前に、本人の能力や適性が社員としてふさわしいかどうかを見極めるため、試用期間がおかれています。一方、試用期間満了時点までの間は、本採用後に比べれば、雇用の保障は薄く、会社側の解雇の選択の余地は大きいということになります。

また、新卒者と中途採用者の採用では、会社に期待される能力水準が異なり、両者の試用期間の運用においては微妙な相違が出てきます。中途採用の場合、業務や役職を特定するなどし、要求される職務遂行能力等が比較的明瞭である場合が少なくありません。そうであれば、それをクリアしているのかいないかの判断は、比較的容易であるといえるため、新卒採用に比べ中途採用の場合の方が、試用期間中の解雇、あるいは試用期間満了時の本採用拒否という形をとった解雇の判断が容易であるという傾向があります。

いずれにしても、試用期間の途中で解雇したり、本採用を拒否する場合、解雇権濫用法理のチェックは受けますので、能力不足等があれば、どのような注意や指導を行ったかが問われます。

裁判例では、次のような事由が本採用拒否の正当な事由とされました。
(1)出勤率不良として、出勤率が90%に満たない場合や3回以上無断欠勤したケース
(2)勤務態度や接客態度が悪く、上司から注意を受けても改善されなかったケース
(3)協調性を欠く言動から、従業員としての不適格性がうかがえるケース
(4)経歴詐称
試用期間は教育や指導をする期間でもあるので、上記のような不適格事由があったとしても、いきなりの解雇は認められず、その期間中にどのような教育・指導がなされていたかが重要です。

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