行政による労働関係紛争解決手続き【2】

2.仲裁(1)仲裁とは、紛争の当事者双方が仲裁人の判断に従うという「仲裁合意」をした上で、仲裁人が当事者の言い分を聞いて判断を示す手続きです。仲裁の大きな特徴としては、当事者側が判断者を指名する手続きであるということがあげられます。

「仲裁合意」は、労働契約締結の前後いずれでもできます。ただし、使用者側による恣意的な仲裁人の指定を防止するため、労働契約時に仲裁人を指定することは禁止されています。通常は、紛争が具体化した後に当事者の一方から仲裁による解決の申出がなされ、仲裁合意書が作成された上で仲裁手続きに入ることが多いようです。
また、各地の弁護士会では、「仲裁センター」、「紛争解決センター」等の名称で仲裁手続きを行っており、労働者側・使用人側いずれも経験している弁護士を仲裁人候補者として推薦してもらうこともできます。

(2)仲裁手続きの流れは以下のようになります。
<1>仲裁の申立て
<2>(仲裁合意がない場合)仲裁予定者の指名、(仲裁合意がある場合)仲裁人の選任
<3>当事者への通知
<4>和解案提示、和解期日
<5>和解成立、もしくは仲裁人による仲裁判断   

(3)仲裁人が示した仲裁判断を当事者双方が受託すれば、仲裁人は、「仲裁判断書」を作成します。この仲裁判断は、確定判決と同様の効力を有していますので、仮に相手が仲裁判断に基づく義務を履行しない場合は、裁判所から執行決定を得て強制執行をすることができます。仲裁手続きに重大な瑕疵や法令違反がない限り執行決定がなされることになります。

また、相手が仲裁判断の結果に不服があった場合は裁判所に仲裁判断の取消しを求めることができます。しかし、仲裁手続きや仲裁内容に法令違反がなければ容易に取消しが認められることはありません。

このように、仲裁はその結果が両当事者を当然に拘束する調整手続きであることから、実際にはあまり利用されていないようです。

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