行政による労働関係紛争解決手続き【1】

1.労働局の紛争調停委員会のあっせん(1)あっせんとは、労働関係調整法等に基づき、労働者と使用者間に公務員等の第三者が入って間を取り持ち、紛争を解決するものをいいます。一部の地域の労働委員会や都道府県労働局(労働相談情報センター等)が行っているあっせん、弁護士会や社労士会によるあっせんがあります。

労働委員会や労働相談情報センター、都道府県労働局は無料で利用できるという利点がありますが、弁護士会等の労働相談と異なり、例えば未払債権の消滅時効(2年間)が迫っている場合等は、消滅時効の進行を中断する効果がない点に注意が必要です(弁護士会等のあっせんを利用した場合、あっせん手続打ち切り通知受領後1ヶ月以内に裁判を提起すれば消滅時効を中断することができます)。

(2)紛争調整委員会によるあっせん手続の流れは以下のようになります。
<1>あっせん申請書の提出
<2>紛争調整委員会による調査の開始、当事者から事前の事情聴取
<3>あっせん期日の決定・通知
<4>あっせんの実施(当事者間の話し合い促進、あっせん案の作成等)
<5>あっせん案の受託

(3)あっせんは、あくまで話し合いにより紛争解決を図るものですので、相手には話し合いに応じる義務や、あっせん案に合意する義務はありません。したがって、相手が話し合いの場に出てこなかったり(使用者側が出席を拒否するケースは4割程度あります)、あっせん案に合意しなかった場合(双方出席でも合意に至らないケースが3割程度あります)は、あっせん手続は打ち切らざるをえません。

他方、あっせん案を双方が合意すれば、和解書面を取り交わすこととなり、その内容で双方の権利義務が確定します。ただし、それだけでは強制力までは生じないため、仮に相手が合意した義務を果たさない場合は、裁判を提起して判決を獲得してから強制執行するしかありません。

なお、使用者は、あっせんの申請をしたことを理由として労働者に対し解雇等の不利益な取扱をすることはできません。

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